元大手新聞社のエリート会社員だった稲垣えみ子さんが
退職することを決意するまでの紆余曲折が書かれているエッセイ本
アフロヘアーの女性のイラストが表紙の本で、しかも会社を退職する話らしい・・・
という点だけでついポチっとしてしまった
ただ、読み始めてみるとどうやら私とは全然ちがって高学歴、高収入のエリート会社員
50歳で退職して、退職金もきちんと(だいぶ?)もらってるみたい
これはもしや「セミリタイア」で退職して悠々自適生活へ突入するハイソな方の話で、
わずかな退職金と無職生活に何年耐えられるかわからない程度の貯金で、
無職生活に突入した私には何の役にも立たない話ばかりなんじゃ・・・
なんとなく不安な気持ちで読みすすめていくことになったその本は、
魂の退社 稲垣えみ子 東洋経済新報社
私が思うに稲垣さんはセミリタイア無職の方なんですけど、
その超節約生活には学ぶことが多々ありました!
会社を辞めることは「もったいない」ことなのか
私も会社をやめるときには「せっかく長く勤めてきたのに」「もったいない」「なんで?」「辞めてどうするの?(若くもないのに・・・)」
とまるで哀れむような目線を浴びながら、職場の同僚たちに言われたりした
そういう時は「他にやりたいことがあるので」とぼやかしていた
やりたいことは「無職になって、毎日好きなように思うように過ごしたい」ってこと
でもそれを言ったらめんどくさいので「やりたいことあるんで、辞めます」で退職した
稲垣さんも退職することを発表したら同じように「もったいない」「辞めて何するの?」
という周囲の反応に困惑した経験を語っている
もし職場の同僚が「お金よりも自由と時間がほしいから退職する」って言ったら、
「いいね」「おめでとう」って言っちゃう!
会社に行かなくていいなんて、私にとってはワクワクしてしまうことだ
みんなが「もったいない」と言うのはつまり「お金」や「社会的信用」のこと
辞めなければもらえるだろう給料、賞与、年金などの「お金」
会社に勤めている会社員という「社会的信用」
ただ、会社をやめる人はそんな「お金」や「社会的信用」を手放してでも
欲しいと思ったものがあったから退職を決めたってことだ
それは「自由」と「時間」
「お金」「社会的信用」 〈 「自由」「時間」
こうなってしまった人間にとって会社を退職することは「もったいないこと」ではない
お金はないけどハッピーライフスタイル
稲垣さんはバブル世代。もらった給料は全て使いきる生活を送ってきたそう
そんな人が地方への転勤をきっかけにお金を使わないライフスタイルに目覚めてしまう
農産物の直売所通い、山歩き、どんどんお金を使わない生活に目覚め
ついには「お金を使いたい」と思わなくなってくるまでに
稲垣さんが節電方法についていろいろ試されているくだりがあるんだけど
ちょっとやってみよう、って思いました
そんな「お金を使わなくてもハッピーライフスタイル」を身につけた地方というのが
「香川県」 私の生まれた場所と同じってところに親近感を覚えた
香川県といえば言わずと知れた「讃岐うどん」そして「貯蓄高日本一」でもある
県民性として納得のいかないお金は使わない、とにかく堅実なのだ
この地方都市で身につけた「お金を使わなくてもハッピーライフスタイル」が
会社を退職しても、会社員じゃなくなっても「なんとかなる」という稲垣さんの自信になっていく
会社員ではなくなってからわかる「会社」のこと
会社を退職して会社員でなくなると、
・借金(住宅ローンも含め)がしづらくなる
・クレジットカードが作れない(作れても限度額が最低額だったり)
・税金、社会保険など自分で手続きをする必要がある
などなど、今まで会社が国とのやりとりを代行してくれてきてこと
そして会社という後ろ盾があってできていたこと
会社員として恩恵を受けていたことを実感する
だけどその一つ一つをクリアしていく過程を経て、
今まで自分が「会社」という世界に守られていたんだなと思うと同時に
やってみれば出来るじゃん、大丈夫これからやっていける
というよくわからない自信も湧いてきちゃう
稲垣さんは退職するまで仕事人間で、携帯も家も会社にずっと用意してもらっていたそう
ほんと福利厚生抜群の会社にお勤めだったようで、羨ましい
退職後、携帯ショップで携帯を契約したり、不動産会社で家を借りる契約をしたりという経験をして
今の日本社会で繰り広げられている営利活動を体感することに・・・
そして日本の「会社」の必死のビジネスに複雑な思いを抱かれるんですね
日本社会=会社社会がひどく行き詰まっているのではないか、と
まとめ
エリート会社員も平々凡々会社員も、会社を辞めてしまえば同じ「無職」
そして「会社を辞める」という経験した、ということに私は勝手に共感しました
会社で勤めているとイヤなこと、よかったこといろいろあります
そんな色んなことをひっくるめて今の自分があることを改めて思い知ります
いろいろ経験したから「退職しよう」と決められるんだな、と
あ、でも私は元会社の同僚や上司たちにはもう会いたくありません!